医療法人と役員社宅

役員に貸し付ける社宅については、医療法と税法の両方から検討する必要があります。
医療法では、社宅が医療法人として適当か否か、税法では、給与課税との関係が定められています。

 

役員のみを対象とした福利厚生(社宅の貸与等)は、剰余金の配当禁止に抵触するおそれがあります。また、医療法人の業務範囲は、医療法で定められています。
医療法人の業務範囲(厚生労働省 平成28527日現在)


社宅を貸し付けるためには、以下の要件を満たす必要があり、慎重に検討しないとなりません。
①役職員への金銭等の貸付は、附帯業務ではなく福利厚生として行うこと。この場合、全役職員を対象とした貸付に関する内部規定を設けること。
②病院等の職員の福利厚生のために行われる業務であって、医療提供又は療養の向上の一環として行われるもの。24時間体制の病院や経常的に勤務時間外の対応をせざるを得ない場合などが該当します。

 

税法上は、役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。「賃貸料相当額」は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅である場合/小規模な住宅でない場合、自社所有の社宅の場合/他から借り受けた住宅等を貸与する場合によって異なりますので、状況に応じて算出します。
役員に社宅などを貸したとき(国税庁HP 平成2941日現在法令等)

 

なお、給与として課税されるものとして、以下が挙げられています。
・役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が、給与として課税されます。
・役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。
・現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。

給与課税されると、法人に源泉所得税の徴収義務が生じますので、漏れの無いように徴収します。

2017年10月4日