一般社団法人を利用した相続税回避に対する税制改正

 株式会社のように、持分のある法人は世代交代の際に、持分を継承するため相続税や贈与税が

課されますが、持分のない法人は、理事等を交代させ支配権を移転させたとしても課税されるこ

とはありません。そこで、持分のない一般社団法人に財産を移転することにより移転時に一度は

課税がされますが、その後は移転財産について相続税や贈与税が課されることはありませんでし

た。 そのため、一般社団法人を設立し、課税を回避する事例が一時期多く見受けられました。

 しかし、平成30年度の税制改正により現在は上記の課税回避は実質的に利用できないものと

なっています。

 税制改正では、一般社団法人等の理事である者(当該一般社団法人等の理事でなくなった日か

ら5年を経過していない者を含む。)が死亡した場合において、当該一般社団法人等が特定一般社

団法人等(一定の親族によって支配されている一般社団・財団法人のこと。ただし、非営利型法人

は除く。)に該当するときは、相続開始の時における当該法人の純資産をその時における同族理事

の数に1を加えた数で除して計算した金額に相当する金額を、その死亡した者から遺贈により取得

したものとみなして、当該法人に相続税が課されることとなりました。

 この税制改正は、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の理事の死亡に係る相続税について適用

されます。ただし、同日前に設立された法人については、令和3年4月1日以後の理事の死亡による

相続税について適用されます。