総額表示 その3

4.消費税の軽減税率制度実施に伴う価格表示

消費税(地方消費税率含む)の標準税率は10%です。

これに対し軽減税率は8%です。軽減税率の適用対象品目は「酒類及び外食を除く飲食料品」及び「定期購読契約が締結された週二回以上発行される新聞」とされています。

このため同じ店舗で販売される同じ商品でもテイクアウト及び出前には軽減税率(8%)が適用されることとなる一方店内飲食では標準税率(10%)が適用されることとなります。

総額表示されるべき消費税込価格は異なる2つが出てくることになります。

この場合2つの表示方法が考えられます。

①テイクアウト等及び店内飲食の両方の税込価格を表示する方法

ハンバーガー 店内飲食330円 テイクアウト324円

②テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法

ハンバーガー330円(テイクアウトの場合税率が異なりますので別価格となります)

総額表示義務は不特定かつ多数の者に対してあらかじめ商品や役務の価格を表示するときに、税込価格を表示することが義務付けられていますが、あらかじめ価格を表示しない場合にまで課されるものではないことから、テイクアウト等又は店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示し、もう片方の税込価格を表示しない場合であっても、違反にはなりません。

しかしながら、店内飲食の場合には適用税率が異なるため、テイクアウト等の場合よりも店内飲食のほうが税込価格が高いにもかかわらず、テイクアウト等の場合であることを明瞭に表示せず、その税込価格のみを表示している場合には、一般消費者に店内飲食の価格が実際の価格よりも安いとの誤認を与えてしまい、「景品表示法」により禁止される表示(有利誤認)に該当するおそれがあります。

また、一般消費者にとって価格表示は、商品又は役務(サービス)の選択上最も重要な販売価格についての情報を得る手段であるという点を踏まえると、テイクアウト等と店内飲食との間で税込価格が異なる場合は、事業者は、顧客の意思表示により異なる税率が適用され、税込価格が別途計算されることがあり得る旨、店舗内の目立つ場所に掲示するなどの手段により、一般消費者に対して注意喚起を行うことがトラブル防止になります。