保険に係る法人税通達の改正(法基通9-3-5の2)~その2~
【最高解約返戻率の区分ごとの取扱い】
法人が、自己を契約者として、役員又は使用人を被保険者とする保険期間
が3年以上の定期保険等で最高解約返戻率が50%を超えるものに加入して、
その保険料を支払った場合には、当期分の支払保険料の額については、
最高解約返戻率の区分に応じ、それぞれ次の通り扱われます。
(1)最高解約返戻率が50%超70%以下の場合
①当該事業年度に資産計上期間がある場合
資産計上期間(保険期間開始の日から、当該保険期間の40%相当期間
を経過する日まで)においては、当期分支払保険料の額に40%を乗じた
金額を資産計上し、残額を損金の額に算入します。
②費用処理期間
費用処理期間(保険期間の40%相当期間経過日から75%相当期間経過日まで)
においては、当期分支払保険料の額を損金の額に算入します。
③当該事業年度に取崩期間がある場合
取崩期間(保険期間の75%相当期間経過日から保険期間の終了日まで)
においては、当期分支払保険料の額を損金の額に算入するとともに、
①により資産計上した金額の累積額を取崩期間の経過に応じて均等に
取り崩した金額のうち、当該事業年度に対応する金額を損金の額に算入
します。
(2)最高解約返戻率が70%超85%以下の場合
①当該事業年度に資産計上期間がある場合
当期分支払保険料の額に60%を乗じた金額を資産計上し、
残額を損金の額に算入します。
②費用処理期間
当期分支払保険料の額を損金の額に算入します。
③当該事業年度に取崩期間がある場合
当期分支払保険料の額を損金の額に算入するとともに、①により
資産計上した金額の累積額を取崩期間の経過に応じて均等に取り崩した
金額のうち、当該事業年度に対応する金額を損金の額に算入します。
(3)最高解約返戻率が85%超の場合
①当該事業年度に資産計上期間がある場合
資産計上期間(保険期間開始の日から、最高解約返戻率となる期間の終了
の日まで)においては、保険期間開始の日から10年を経過する日までは、
当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の90%を乗じた金額を、
その後は、最高解約返戻率の70%を乗じた金額を資産計上し、
残額を損金の額に算入します。
②費用処理期間
当期分支払保険料の額を損金の額に算入します。
③当該事業年度に取崩期間がある場合
取崩期間は、最高解約返戻金相当額(※最高解約返戻率ではありません)
となる期間経過後から、保険期間終了の日までとなります。
この期間においては、当期分支払保険料の額を損金の額に算入する
とともに、①において資産計上した金額の累積額を取崩期間の経過に
応じて均等に取り崩した金額を、損金の額に算入します。
(4)留意点
最高解約返戻率に達する期間が極めて早くに到来し、その後、
解約返戻率が急減するような場合は、①で算定した資産計上期間
が5年未満となる場合には、資産計上期間は最低でも5年とされています。
ただし、そのような保険商品でも、保険期間が10年未満の場合には
保険期間開始の日から当該保険期間の50%相当期間を経過する日
までが資産計上期間となります。