分掌変更による役員退職給与(概要)

分掌変更とは、仕事の分担や業務内容の大きな変更のことをいいます。

役員においては、常勤取締役が非常勤取締役になるケースや、取締役が監査役になるケースなどが

挙げられます。

本来、退職給与は実際の退職の事実に基づき支給されるものですが、

税務上は、引き続き在職する場合でも、分掌変更により実質的に退職と同様の事情にあるときは、

退職給与として取り扱うことができるとされています。

これは、法人税基本通達9-2-32に謳われており、3つの具体例が列挙されています。

ここで留意すべき点は、当該3つの具体例はあくまでも例示であり、それらに当てはまれば、

即時に役員退職給与の損金算入が認められる訳ではないということです。

特に、給与の激減については、給与を半分以下に引き下げれば無条件で損金算入が認められるといった考えが

蔓延しているようですが、同通達にも記載のある通り、あくまで、

「実質的に退職したと同様の事情にあると認められること」が要件になっていることが重要です。