役員退職給与の未払計上について
役員退職給与は株主総会の決議でその支給を決議することによって、債務として確定するため、
その支払いがされていない未払いの状態であっても、直ちに損金性が否認されるものではありません。
ただし、未払計上から全額の支払終了までの期間が長期に渡ると、一時払いの退職金ではなく、年金方式の
退職金と認定される可能性が出てきます。この場合、法人税の損金算入時期も一時払いのケースとは異なっ
てきます。
一時払いでは、上記の通り、株主総会での決議の日の属する事業年度となりますが、退職年金の場合には、
その支給の都度、損金算入されるとされており、残額を未払計上している場合でも、その未払金に相当する
金額は損金に算入できないことに留意が必要です。さらに、一時払いと年金方式では、受け取る個人の所得税
における所得区分も退職所得から雑所得(年金)に変わることになり、所得税額の負担も変わってくることに
なります。
では、どれまでの期間が「長期」と判断されるかの基準ですが、実務上は3年以内に支払いを完了させるのが
望ましいとされています。ただし、明文化された絶対的なものではないため、できる限り一括で支給すべきで
あります。どうしても、法人の資金繰りに懸念があるのであれば、一旦は退職金の支給をし、その後、
個人から法人が借入をするという方法も視野に入れる必要があります。
なお、分掌変更に伴う退職金は原則として未払計上は不可となっています。