各機関の義務と責任

公益法人の各機関はいくつもの権限が与えられている一方で、相応の義務と責任を負っています。

これらは法律で定められているものであり、知らなかったでは済まされないものです。

各機関ごとの義務と責任をみていきましょう。

 

<理事>

理事により構成される理事会には、代表的なものとして次のような権限があります。

代表理事及び業務執行理事の選定及び解職
計算書類・事業報告の承認
競業・利益相反取引の承認
一方で各理事が負っている義務及び責任は以下のようになっています。

【義務】

善管注意義務
忠実義務
競業・利益相反取引の承認と報告※
社員総会・評議員会における説明義務
監事に対する報告義務
※理事が法人と取引をする場合や、理事と法人との間で利益が相反する取引をする場合には

社団法人では社員総会、財団法人では理事会の承認を受けなければなりません。

 

【責任】

任務を怠ったことにより法人に生じた損害を賠償する責任
職務について悪意又は重大な過失があったときに第三者に生じた損害を賠償する責任
<監事>

監事には次のような権限が与えられています。

事業の報告要求、業務・財産の状況調査

監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業の報告を求め、また法人の業務及び財産の状況を調査することができます。
理事会の招集請求

監事は、理事への報告義務を果たすために必要があると認めるときは、理事に対し、理事会の招集を請求することができます。
理事の行為の差し止め請求

監事は、理事が法人の目的の範囲外の行為や法令・定款に違反する行為をし、又はそのおそれがある場合で、その行為によって法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該理事に対し、その行為をやめるよう請求することができます。
【義務】

善管注意義務
理事への報告義務
理事会への出席義務等
社員総会・評議員会における説明義務
社員総会・評議員会の議案等の調査・報告義務
【責任】

理事と同様の責任を負っています。

 

 

<評議員>

評議員により構成される評議員会には次のような権限が与えられています。

役員の選任・解任
定款の変更
計算書類の承認
役員等の責任の一部免除
合併の承認
【義務】

善管注意義務
法人内での兼職禁止
報酬等の定款による規定
【責任】

理事・監事と同様の責任を負っています。

 

 

以上が、各機関の義務と責任になりますが、注意すべき点は悪意がなくとも、職員に任せきりになっていて、法人運営に適切に関与していない場合などは、善管注意義務に反するおそれがあるということです。

更に、これらの義務と責任は、常勤・非常勤、報酬の有無に関わらず負っているという点も注意が必要です。なお、在任中の事案であれば、退任後でもその責任を追及されることになります。