公益法人を取り巻く税金

公益法人を取り巻く税金

 

「うちは公益法人だから、税金はかからないんですよ。」

こういった言葉を耳にすることがよくあります。しかし、それは大きな誤解です。確かに、公益法人には税制優遇措置を受けている部分もありますが、無条件に無税というわけではありません。各種税法に則り、申告及び納付しなければならいケースも数多くあるのです。しかし、実際には適正な税務申告がなされていないことも多く、国税局の発表によると、税務調査を実施した結果、約7割の法人に申告漏れなどの誤りがあったとされています。公益法人といえども、適正な税務申告を行う必要があるのです。

では、公益法人に関係してくる税金には、どのようなものがあるのか、その概要を見ていきましょう。

  1. 法人税
  2.  その名の通り、法人の利益にかかる税金です。株式会社などの普通法人は、その全所得に課税されますが、公益法人は利益追求を目的としていないため、法人区分に応じ、優遇措置が設けられています。

 

  1. 消費税
  2.  国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡等に課される税金です。これは株式会社や公益法人などの区分に関わらず、等しく課される税金となります。しかし、特定収入の取扱いなど、特殊なケースもあり、税額の計算には相応の知識が要求されます。

 

  1. 源泉所得税
  2. ⅰ)給与・報酬等に係るもの

給与や報酬を支払う際に、一定の金額を予め徴収し納める税金です。これは、支払を受ける者から預かって代わりに納めるものですので、法人の負担となる税金ではありません。

 

ⅱ)利子・配当に係るもの

通常、利子や配当を受けた場合には、その20%が税金として源泉徴収されます。これは法人税の前払いの性格を有するものですが、法人区分に応じ取扱いが異なっています。

 

  1. 譲渡所得税
  2.  個人が資産を譲渡した際の譲渡益に課される税金であるため、通常は公益法人には関係のないものですが、一定のケースでは関係してくる場合もあるため、注意が必要です。

 

  1. 法人事業税
  2.  法人が事業を行うことに対して課される税金であり、法人税をもとに計算するため、そもそも法人税の発生しない法人に対しては課税されない税金です。

 

  1. 法人住民税
  2.  法人事業税と同様に法人税が発生しない場合には課税されないものですが、均等割りといって、法人税の有無を問わず課税されるものもあります。

 

  1. 固定資産税・償却資産税
  2.  土地や建物、その他一定の資産を保有していることに対して課される税金です。一般的には、土地・建物に係るものを「固定資産税」、それ以外のものを「償却資産税」と呼んでいます。保有していることに対して課されるものですが、一定の施設については、非課税とされているものもあります。