剰余金の配当禁止/医療法人
医療法7条6項では「営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、許可を与えないことができる」とされています。
一般に営利法人とは、株式会社のように株主(構成員)への利益分配を目的とした法人をいいます。より多くの利益分配を行うために商売で利益を稼ぎ出す必要があります。
一方、医療法人は医療法54条に「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」とあるように利益の分配を禁止していますので利益を追求する必要はありません。
また、配当ではなくても、事実上の利益の分配とみなされる行為として、次のような事例は配当類似行為として適切ではないとされています。
・近隣の土地建物の賃借料と比較して、著しく高額な賃借料の設定
・病院等の収入等に応じた定率賃借料の設定
・役員への不当な利益の供与
・個人又は他の法人への寄附
医療法人の剰余金は、次に掲げる経費に充てるのがよいといわれています。
・医療の質の向上に向けた資源の充実に要する費用
設備整備に要する費用
医療機関の医療従事者を含めた法人職員に対する給与改善費用
・安定的な財政基盤の確保に要する費用
将来の施設整備に係る積立金(医療法人に留保)
・医療法人の経営の確立に要する費用
持分のない医療法人への移行のための費用
今までは剰余金の使途について配当してはいけないという消極的な制限でしたが今後は使途を示す積極的な表現になっていくと思われます。
2017年7月31日