学校法人会計の特徴

 学校法人は教育活動を目的とする非営利法人であるため、利益を得ることを主目的とする株式会社などとは異なり、このことが学校法人の会計の特徴として表れています。

 

(1)収支計算を重要視

 株式会社などでは経営成績を報告するための損益計算書が作成されますが、学校法人は営利を主目的としないため、損益計算書は作成されません。その代わりに、「資金収支計算書」・「事業活動収支計算書」という2つの収支計算書が作成されます。

 

(2)一取引二仕訳

 株式会社などの企業会計では、一つの取引があった場合、一つの取引仕訳で処理されますが、学校法人会計では、二つの取引仕訳が必要となります。これを、「一取引二仕訳」といいます。これは、企業会計と学校法人会計で作成する計算書類の違いに起因しています。

 企業会計では、損益計算書のみが作成されるのに対し、学校法人会計では、資金収支計算書と事業活動収支計算書の2つの収支計算書が作成されます。事業活動収支計算書は、純資産の増減を計算するという点で、損益計算書と類似の概念でありますが、資金収支計算書は学校法人会計独自の計算概念といえます。

 したがって、学校法人会計では、事業活動収支計算を行うための取引仕訳と資金収支計算を行うための取引仕訳の2つが必要となるため、一取引二仕訳となるのです。

 

(3)予算主義

 学校法人は収入が比較的安定しており、年度初めにおいてその年度の収入がほとんど確定しています。そのため、学校法人の収支管理は支出をいかにコントロールするかにかかっており、資金ショートのリスクを回避するためにも、厳格な予算管理が必要とされます。

 また、学校法人の収入は、生徒や保護者からの授業料や税金を原資とした補助金などで、その大半を賄っているため、適切な支出管理が必要となります。そのため、私立学校振興助成法では、収支予算書(資金収支及び事業活動収支)の所轄庁への提出を義務付けています。