分掌変更による役員退職給与(未払計上)

法人税基本通達9-2-32により、分掌変更による役員退職給与の損金算入は認められている訳ですが、

同通達の注書きには、

「本文の『退職給与として支給した給与』には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の

当該未払金等の額は含まれない。」

とされています。従って、分掌変更による役員退職給与の分割支給は原則として認められないと解するのが

妥当です。しかしながら、原則としてとあるように、全ての未払計上による分割支給を排除している訳では

ありません。

分割支給の損金算入を認める、法人税基本通達9-2-28は、これまで分掌変更による役員退職給与には

適用されないと考えられていましたが、平成27年の裁判例で、「法人税基本通達9-2-28ただし書きに

依拠した本件会計処理は公正処理基準に従ったものといえるため」という理由で、分割支給の損金算入

を認める判断をしました。

ただし、あくまで、個別の事案であり、射程の範囲は曖昧なため、分掌変更による役員退職給与

については、これまで通り、一括して支給するのが無難と言えるでしょう。